Exhibitions__Artists__Wedding & Engage ring__Books & Catalogs__About us__Access__Links__Top



2008 Past Exhibitions


Shunichiro Nakashima -IDLY OBJECT-
2008年3月28日-4月13日 



 この度、ギャラリー・ドゥ・ポワソンでは初めてとなる中島俊市郎の個展を開催致します。

 中島は1972年に岐阜県に生まれ、近畿大学、東京芸術大学大学院にて染織工芸を学び、現在は金沢を拠点に活動し、国内外の展覧会に多数参加しています。染織作家、テキスタイルデザイナー、ジュエリーデザイナーとしての多彩な表現手段を持ち、加えて現在は金沢美術工芸大学の講師として後進の指導にあたっています。

 本展では、近年中島が精力的に展開している繊維やプラスチックを用いたジュエリーを発表致します。その中には、作家自身が染めた絹糸や金糸、あるいは木綿糸を結んだり、スチールに巻き付けたりすることで形作られたネックレスやブレスレット、様々な色の木綿糸片をランダムに重ね合わせたブローチ、ビーズの指輪、羽や絹、金糸を組み合わせたピアスなどがあります。色鮮やかな線描のように自在に作られたそれらの形は、近づいてみると凝縮された小さな彫刻のようでもあります。糸や羽など重量のない手の平にふわりとのるジュエリーは、カラフルで軽やかでありポップな印象を与えますが、それらの一つ一つは作家独自の完成された手仕事の技術に裏付けられており、非常に密度の高い作品です。

 中島は、自身を素材から発想して作る作家であると話しています。中島にとって身近である素材を手に取り対話することによって生まれてくる様々なかたちを、ジュエリーと捉え、人々が着用したいと思うような形態に仕上げることは中島独特の感性であるといえるでしょう。また、ビーズなどプラスチック素材も積極的に取り入れてジュエリーを作りながらも、中島の素材に対する姿勢には染織作家としての背景が一貫して見られ、織る、縒る、結ぶといった動作から形が生み出されています。

 本展は、インスタレーションとして中島の世界観を表すと同時に、彼の幅広い作品群の一つ一つをじっくりとご覧いただく機会になることを願っております。

 この機会にぜひご高覧ください。



Claude Schmitz -a european approach-
2008年5月16日-6月1日 



 この度ギャラリー・ドゥ・ポワソンでは、ルクセンブルクの作家、クラウド・シュミットの国内初となる個展を開催致します。

クラウド・シュミットは1972年にルクセンブルクに生まれ、ドイツ、ベルギー、イギリスで学んだ後、2001年よりルクセンブルクを拠点にジュエリーアーティストとして活動しています。国内はもとより、スペイン、ポルトガル、オランダ、イギリス、アメリカ等で数多くの展覧会に参加し、その作品は、大英博物館、ルクセンブルク国立歴史・美術博物館等にコレクションされています。はじめ、絵画、インテリアデザインを学びますが、幼少時代より金工作品に魅了されていたシュミットにとってジュエリーを志すようになるのは自然なことでした。より直接的に人間の身体と関わりあう表現媒体であるジュエリーは、シュミットの表現の可能性を押し広げました。

クラウド・シュミットは最近の自身のジュエリーについて「ミニマリスト・バロック」という言葉で表しています。「最小限(ミニマム)」でありながら「装飾的、装飾過多(バロック)」である、という矛盾をはらんだこの言葉は、シュミットの作品世界をユーモラスに言い得ているでしょう。シュミットの作品には、抽象的な幾何形体が多い一方で、自然物からの引用など有機的なモチーフも登場します。物語性のある要素を用いながらも構築的な造形に落とし込み、作品によってすべてのストーリーを語るよりも、見る(身につける)側に自由な解釈の余地を残しています。また、高い技術に裏打ちされた素材の扱いはクラウド・シュミットの作品の大きな魅力の一つです。具象と抽象を自在に行き来しながら、そのどれもが作家自身の厳格で緻密な手仕事により、洗練されかつ重量感のある貴金属に置き換えられています。そうして生み出されたジュエリーは、モダンでありながらクラシカルな魅力を兼ね備え、その上質でゆたかな触感は身につける者を魅了します。

今回の展覧会では約40点の新作が並びます。この機会にぜひご高覧下さい。



Okinari Kurokawa -ring ring ring-
2008年7月18日-8月3日



 この度ギャラリー・ドゥ・ポワソンではジュエリー作家黒川興成による個展を開催致します。

 黒川(1946年生まれ)は、1971年武蔵野美術大学工芸工業デザイン科卒業後に入社した岩倉精密鋳造研究所より、西ドイツ・フォルツハイム造形大学へ留学し、さらにジュエリー制作を専門に学びました。はじめ大学で工業デザインを専攻していた黒川は、自分で考え最後まで自らの手で作ることが出来るクラフト志向へと転換する過程で「装身具」に出会います。ドイツでは伝統的な宝飾加工を学ぶと同時に、ヨーロッパのコンテンポラリージュエリーの現場を体感することでその後の作品制作における思想に影響を受け、帰国後は日本のコンテンポラリージュエリー界を常に率いる存在であり続けています。現在は、甲府に拠点を置き、制作活動を行うほか教鞭を取り後進の育成にあたっています。

 黒川は、ジュエリーを「身につける彫刻」と捉えており、形として独立して美しいものであること、そして、人体と関わった時にどう見えるか、という二つの面から形を探求しています。また、黒川の金属素材への造詣の深さは日本のジュエリー界においても群を抜いており、伝統技術を踏まえながらも常に革新的な技術や素材の扱いによって生み出されるかたちは、一見さりげなく、しかし作品の確固たるオリジナリティを築いています。

 「ring ring ring」と題する本展は、指輪ばかり50点以上並ぶ展覧会となります。指輪は、黒川作品の「顔」とも言える作家が最も力を注いでいるアイテムであり、作家の世界がそこに凝縮されています。それらの多くはキャスト(鋳造)では出来ない構造やテクスチャーを有しており、指輪の可能性をさらに広げるものと言えます。ちぎった和紙のようなテクスチャーのゴールドやシルバーを丸めて形作られた柔らかな印象のリングや、キューブや円錐など幾何形体の組み合わせによる彫刻的なリングなど、様々な表情をもつリングが一堂に並びます。

 ぜひこの機会にご高覧ください。



Yasuki Hiramatsu
2008年10月10日-10月26日




平松保城(1926−)は日本のコンテンポラリージュエリー界を戦後切り拓き、常に第一線で牽引してきた日本を代表する作家です。国内外で高く評価されており、海外での個展開催も多く、ロンドンのヴィクトリア・アルバート美術館を始め多くの美術館に作品が所蔵されています。この度、東京国立近代美術館・工芸館での展覧会開催(「かたちのエッセンスー平松保城のジュエリー」10月4日−12月7日)に併せ、当ギャラリーにて平松の個展が企画されました。

 平松は大阪で彫金家の平松宏春の末子として生まれ、後に彫金家の桂信春を義父にもちます。もの作りに親しむ環境で育ち、終戦後は現在の東京芸術大学の工芸科に入学し自らも彫金の世界を志します。日本の彫金の伝統を継承しながら、素材と技術を自身の解釈で柔軟に捉え直し、時代感覚を有した造形へと転換しています。

 平松のもっとも代表的な作品に、幾何形体と金属のテクスチャーを融合させたシリーズ、そして、繊細な金属の線材を用いたシリーズがあります。道具は基本的なものしか使わず地金を手で扱うことで、素材と対話しながら金属のさまざまな表情を無限に引き出しています。一般的に硬くて冷たい印象をもたれる金属を「やわらかい、やさしい、あたたかい」素材としてしなやかに変容しています。

 今回ギャラリー・ドゥ・ポワソンでの展覧会では、代表的なジュエリー作品の一連に加え、花器や文鎮などの生活の道具、さらに王冠の作品など多岐にわたり紹介いたします。素材の資質を活かすシンプルな形態のなかに華やかさが宿り、かたちの用途に関わらず根底に共通する造形に対する美意識が感じられます。装身具を作るということが一般的でなかった時代から一貫して「人が生きていくうえで価値のあるものを」志向した作家の思いが垣間見られるでしょう。今現在作られる新作の数々も含め半世紀にわたる平松の創作活動を顧みるこの機会に、ぜひご高覧ください。



Gijs Bakker jewelry exhibition
REAL?
2008年10月10日-10月26日




 この度、ギャラリー・ドゥ・ポワソンでは、オランダのジュエリー作家ハイス・バッカーの個展を開催致します。工業デザイナーでもあるハイス・バッカー(b.1942)は、1993年に発足したドローグデザインの創始者としてもダッチデザインを率いるオピニオンリーダーであり続けてきました。東京・恵比寿に本年6月にオープンしたオランダ国外初のドローグのオンリーショップの企画による展覧会に併せ、ハイス・バッカー個人のジュエリー作品をご紹介することとなりました。

 「REAL?」と題された今回の展覧会は、本年春にオランダ・アムステルダムにて発表された「REAL?」シリーズとその前身である「REAL」シリーズから成ります。「REAL」シリーズでは、人工石で作られた既製品のコスチュームジュエリーをモチーフに、「本物の」貴金属や貴石を用いプロの金細工師の手で作られたミニチュアサイズの「イミテーション」が「オリジナル」であるコスチュームジュエリーに寄生し、一つのブローチやリングとなっています。また、そのシリーズに応えるように作られた「REAL?」シリーズでは、既製品のコスチュームジュエリーを文字通りゆがませ、切り込みを入れ、こわすことで新しいジュエリーを生み出しています。あるいは、粘土を素材にジュエリーを模刻し、さらにその表面に描写を施したものもあります。何重にも本物とフェイクについて問いかけが隠され観る者を戸惑わせるコンセプトの連鎖は、強いインパクトを持ちながらもエレガントなたたずまいを見せています。

 ドローグデザインの一連のプロダクトでも繰り返しあらわれるファウンド・オブジェクトの手法と手仕事の重視がバッカーのこれらの作品の中でより端的に示されています。コンテンポラリージュエリーのパイオニアであるバッカーによる、既存のジュエリーやそれを取り巻く環境への批評性もはらんだ「REAL?」「REAL」シリーズは、新鮮な驚きとともに私達に改めてものの持つ価値とはなにか?真のオリジナリティとは?といった永遠の問いを考えさせます。

本作日本初公開となるこの機会にぜひご高覧下さい。

助成:オランダ王国大使館
この展覧会は、『日本オランダ年2008 2009』の公認事業としてオランダ大使館より支援されております。




Henk Leppink NEW JEWELRY WORKS
2008年11月14日-11月30



 ギャラリー・ドゥ・ポワソンでは、この度三回目となる、オランダのジュエリー作家ヘンク・レピンクの個展を開催致します。

 70年代より画家として様々な活動を行ってきたレピンク(b.1956)は、1990年にボタンを使ったジュエリーの制作を始めますが、初めは親しい友人へ向けた贈り物として、個人的に作ったものがきっかけでした。以来、アントワープのドリス・ヴァン・ノッテンのブティック等で作品を発表し、その後ギャラリー等での展覧会活動を開始しました。

 ヘンク・レピンクはありとあらゆるボタンを使ってジュエリーを作ります。時には、地元の新聞に広告を出し、ボタンの提供を呼びかけます。そして、ボタンを大切にしている(しかし彼女等の子供たちはそうではない)という老婦人たちからの電話を定期的に受け、彼女等の“宝物”を受け継ぎます。着なくなった洋服から、あるいは、下着や枕カバーからはずして大切にとっておかれたボタン達は、色、スタイル、素材、サイズなど実に様々で、レピンクのボタン箱の中で次の出番を待つことになります。

 レピンクはまず、ボタンを洗い、ゴムに縫い付け、ジュエリーを形作ります。そうして出来上がるネックレスやブレスレットには、他者の時間や記憶が内包され、新しく身に付ける人によって、新たな物語が紡ぎ出されます。本来あるべき場所からはずされたボタンは、元あった場所(洋服やファブリック)の不在を、そして、それらを身につけ使用していた所有者の不在を、観る者に想起させます。レピンクは、近年、ファブリックや革、新聞紙、缶などを素材として、彼のジュエリーを包むパッケージを作っています。これらは、ジュエリーと一体となり一つの静物画を完成させる大切な要素である一方、それぞれの中に包まれるジュエリーに用いられているボタンの背景を伝え、そこから自由に物語を読み取るヒントを与えてくれます。

 レピンクのジュエリーは、マスプロダクトとは対極にある唯一無二のものの魅力、歴史を内包したものの持つ温かさ、といったものに気づかせてくれることでしょう。今回の展覧会がそんな特別な宝物に出会う喜びにあふれるよう願っております。ぜひご高覧ください。

助成:オランダ王国大使館
この展覧会は、『日本オランダ年2008 2009』の公認事業としてオランダ大使館より支援されております。